治療法
【手術】
手術の条件
潰瘍性大腸炎では、緊急に手術が必要な生命にかかわる状態や、適切な治療が行われているのにもかかわらず症状が改善しない場合に手術が行われます。具体的には、次のような場合です。
- 大腸がん、大出血、穿孔(大腸の壁に穴が開く)、中毒性巨大結腸症(腸管の動きが麻痺して拡張している)、腹膜炎などがみられる
- 大腸の炎症が非常に激しい
- 薬による治療が困難
- 生活の質が著しく損なわれている(仕事や家事がままらないような状態)
- 薬物に重い副作用がみられる(ステロイドの副作用で成長障害がみられるなど)
- 難治
どんな手術をするの?
潰瘍性大腸炎の手術では、炎症を起こしている大腸をすべて切除・摘出します。基本は、大腸を全て摘出する大腸全摘術といいます。患者さんの状態によって、何回かに分けて行う場合があります。
2回に分けて行う方法と3回に分けて行う方法があります。最初の手術は結腸を大半切除して人工肛門をつくる手術を行います。ステロイドを投与したのに大量出血がある、穿孔がある、緊急手術が必要な場合によく行われます。この手術は人工肛門をつくるので術後は通常食事を摂ることが可能です。
半年程度で全身状態の改善がみられたら、2回目の手術を行います。2回目では残っている直腸やS状結腸を切除し、小腸でパウチをつくって肛門と吻合します。この手術では、人工肛門をつくる場合とつくらない場合があります。つくった場合は人工肛門を閉じる3回目の手術が必要です。
大腸全摘でパウチ(回腸嚢)と肛門を吻合する方法は主に2つです。なお、いずれの方法でも小腸の末端を折り曲げて小さな便を蓄える袋を作るので、便をためておくこができ、術後は自然に排便することが可能です。はじめのうちは、便の頻度が多くなりますが半年ほどで1日5回程度に落ち着きます。 ただ、栄養状態が悪化していて傷の治りが悪い場合には、一時的に人口肛門がおかれることもあります(最終的には排除します)。
| 方法 | 症状 |
| 回腸嚢肛門吻合術 | 直腸をほとんど取り除き、回腸と肛門をつなぐ方法。直腸粘膜をはがしとるので再発の危険性はなくなる。 |
| 回腸嚢肛門管吻合術 | 直腸を少し残して回腸とつなぐ方法。排便機能を保つのに優れている。 |
ストーマ(人工肛門)について
人工肛門は、手術でつくられた新しい排泄口です。人工的なモノを使うのではなく、自身の腸の一部をお腹の壁を通して皮膚の上に造ります。ストーマとも呼ばれています。手術後の縫合不全で一時的に必要なとき、大腸をほとんど切除したときに造設されます。人工肛門には括約筋がなく、自分の意思で便意をコントロールできないために、装具といわれる便を受け取る袋が必要になります。
潰瘍性大腸炎では人工肛門をつくることがほとんとです。小腸で作った人工肛門では多くの場合で水分や電解質を多く含む便が増えるので、脱水を起こしやすく注意が必要です。水分の量は通常時間と共に減少していきます。
便の漏れが多くなりそう人や肛門付近にがんが発見されたときは小腸で人工肛門をつくる場合があります。小腸でストーマを造設した場合は一時的ですが、さらに直腸肛門病変が悪化したり、直腸がんを合併して直腸切断をしたりすれば永久的なストーマとなります。た、多くの場合は自然肛門を残してそこに省庁でつくった袋をつなぎ、自然肛門から排便できるようにする手術が可能です。自然肛門から排便できるようにする手術の方法には、1回目の手術でつくるものや2回目3回目の手術で可能になるものなどがあります。
詳しいストーマの種類、管理の方法などについては、社団法人日本オストミー協会のHPに詳しく記載されていますのでそちらを参考にして見て下さい。
術後~どんな効果があるの?~
炎症のある大腸をすべて切除するため、血便や腹痛、発熱といったさまざまな潰瘍性大腸炎の症状が合併症も含めて改善します。術後は排便の回数がやや多くなってしまうものの(水分の吸収や糞便の形成や貯蓄機能がなくなるため)、時間の経過とともに排便回数も落ち着いてきます。パウチが大腸の代わりをきちんと果たすまでは、やや時間がかかります。1週間~2週間の間は変化はあまりありませんが、数か月単位でみれば、便意も術前と比べてがまんできるようになります。症状や年齢によって個人差はありますが、術後1年以上たった人の平均排便回数は5~6回/日のようです。一般的に、ほとんどの人が手術前に比べて大きく生活の質が向上しているようです。
術後の合併症
術後の合併症は、行われる手術によって異なります。術後時間が経てば、下記以外にも回腸嚢炎による腹痛や発熱、下痢、下血または膿瘍、ろう孔などが現れることがあります。
| 手術 | 症状 |
| 結腸亜全摘術・S状結腸粘液ろう・回腸人工肛門増設術 | 結腸亜全摘術・S状結腸粘液ろう・回腸人工肛門増設術を行った場合は、腸内感染、腸閉塞、出血が起こることもあります。穿孔があって感染症を起こしている場合は、膿瘍ができて合併症が起こることが多くなります。 |
| 大腸全摘で回腸嚢と肛門を吻合した場合 | 骨盤内膿瘍(直腸から切除した後の骨盤に海がたまる)や縫合不全(うまく縫合ができず便が外に漏れてしまう)、回腸嚢の出血(縫合した小腸と小腸の間から出血)などがあります。 |














